ドイツの「アドベントキャンドル」とは?日曜日を灯す 4 本のろうそくの意味
ドイツ人にとっての “12 月のスタート合図”
ドイツでは、11 月末〜 12 月初めの日曜日になると、街のあちこちで丸いリースと 4 本のろうそくが並んだ「アドベントキャンドル(アドベントクランツ)」が一斉に登場します。
この 4 本のろうそくは、クリスマスまでの 4 回の日曜日を数えるための“時間のしるし”であり、家族や友人が集まる大切なシンボルです。
HELUKABEL(ヘルカベル)は、ドイツ・ヘミンゲンに本社を置く産業用ケーブルメーカーとして、ニュースルーム記事などを通じてドイツの季節や文化も日本のお客様に発信しています。
本記事では、12 月のドイツを象徴する「アドベントキャンドル」の歴史と意味、そして実際の過ごし方をご紹介します。
アドベントとは?——クリスマス前の“待つ時間”
アドベント(Advent)は、クリスマスの 4 つ前の日曜日から始まる約 4 週間の期間で、西方教会の暦では教会暦の新年にあたります。最初の日曜日は「アドベントサンデー」と呼ばれ、クリスマスの 4 つ前の日曜日、すなわち 11 月 27 日〜 12 月 3 日のいずれかにあたります。
この時期は、
- クリスマスを静かに準備する
- 1 年を振り返る
- 家族や友人との時間を大切にする
といった意味合いが強く、にぎやかなだけでなく「少しスローダウンする季節」としても親しまれています。
アドベントキャンドル(アドベントクランツ)の歴史
アドベントキャンドルのルーツは、16 世紀ごろのドイツのルター派教会にまで遡るといわれますが、現在のような形の“アドベントリース+ろうそく”スタイルが広く普及したのは 19 世紀以降です。
特に重要なのが、ハンブルクの牧師ヨハン・ヒンリッヒ・ヴィヒェルン(Johann Hinrich Wichern)。彼は孤児院「ラウエス・ハウス」で暮らす子どもたちに、
「あと何日でクリスマス?」
と毎日聞かれるのに応えるため、古い車輪を利用して 24 本のろうそくを並べた大きな輪を作りました。日曜ごとに太いろうそく、平日は小さなろうそくに火を灯しながら、子どもたちとクリスマスを数えたのが、今日のアドベントクランツの原型とされています。
のちにこの輪は、家庭でも扱いやすい「常緑樹のリース+ 4 本(または 5 本)のろうそく」というシンプルな形に変化し、プロテスタントだけでなくカトリック教会や一般家庭にも広がっていきました。
4 本(+1 本)のろうそくの意味
一般的なアドベントキャンドルは、常緑樹(モミなど)のリースに 4 本のろうそくを立てたものです。色や呼び名は地域や教派によって異なりますが、よく見られる解釈は次の通りです。
- 第 1 のろうそく : 希望(Hope)
「預言者のろうそく」と呼ばれ、救いを待ち望む希望を表すとされます。 - 第 2 のろうそく : 信仰(Faith)
「ベツレヘムのろうそく」とも呼ばれ、聖家族の道のりを象徴します。 - 第 3 のろうそく : 喜び(Joy)
バラ色(ピンク)のろうそくが使われることが多く、「喜びのろうそく」「羊飼いたちのろうそく」と言われます。 - 第 4 のろうそく : 平和(Peace)
「天使のろうそく」とされ、平和への祈りを象徴します。
さらに教会や一部の家庭では、リースの中央に白い「キリストのろうそく」を置き、クリスマスイブまたはクリスマス当日に灯す習慣もあります。
ドイツの 12月 : 各アドベントサンデーの過ごし方
第 1 アドベント : ろうそく 1 本目と“クリスマス準備解禁”
第 1 アドベントの日曜日は、多くの家庭でアドベントクランツをテーブルや窓辺に飾り、最初のろうそくに火を灯します。この日を境に、
- クリスマスマーケットが本格的にオープン
- クリスマス装飾やイルミネーションが増える
- 焼き菓子づくり(クッキー、シュトーレン)を始める
といった“クリスマス準備モード”が一気に加速します。
第 2 アドベント : 家族でのティータイム
2 本目のろうそくを灯す第 2 アドベントでは、
- 手づくりクッキー
- シュトーレン
- ホットティーやコーヒー
を囲んで、家族・友人とのお茶の時間をゆっくり楽しむ家庭が多く見られます。教会での礼拝後に集まることも一般的です。
第 3 アドベント : 喜びのピンクのろうそく
3 本目のろうそくはピンク色が使われることが多く、「喜び」を象徴する日です。街の雰囲気も一段と華やかになり、
- クリスマスマーケットでの買い物
- 子ども向けコンサートやイベント
- 企業や団体のクリスマスパーティ
などが盛んになります。HELUKABEL でも、世界各拠点の同僚と一年を振り返り、お客様やパートナーへの感謝を伝えるメッセージを発信しています。
第 4 アドベント : クリスマス直前の静かな時間
4 本目のろうそくが灯るころには、クリスマスまであとわずか。プレゼントの準備や旅行の最終確認で忙しくなりがちですが、あえてこの日を「少し落ち着く時間」として、
- 部屋の照明を落としてろうそくの光だけで過ごす
- 教会のコンサートに足を運ぶ
- 家族で 1 年を振り返る
といった“静かな時間”を設ける家庭も多くあります。
日本から見たアドベントキャンドルの楽しみ方
日本からドイツを訪れる技術者・購買担当の皆さま、あるいは観光でクリスマスマーケットを楽しまれる方にとって、アドベントキャンドルは「季節の風景」を感じるうえで絶好のテーマです。
ポイント例 :
- ホテルのロビーやレストラン
受付カウンターやテーブルにアドベントクランツが飾られていることがあります。 - 教会の礼拝
日曜日に教会を訪れると、大きなアドベントリースにろうそくが灯される様子を見ることができます。 - お土産としてのミニリース
小さなリースやキャンドルホルダーは、お土産としても人気。実際に火を灯す際は、日本の住宅事情に合わせて、安全に配慮してください。
「光」と「ケーブル」—— HELUKABEL からのひと言
アドベントキャンドルは、ろうそくの光を通じて“暗い冬の季節に少しずつ光が増えていく”ことを象徴しています。
HELUKABEL は、産業用ケーブルを通じて、工場・インフラ・モビリティなどさまざまな現場に“安全で信頼できる電気の通り道”を提供している企業です。
- 冬の街を照らすイルミネーション
- 工場の安定稼働を支える電源ライン
- クリスマスマーケットの屋台を動かす電力供給
いずれも、見えないところで「ケーブル」が支えています。
ドイツのアドベントキャンドルの文化を知っていただくことが、HELUKABEL の“ドイツ発の技術と文化”をより身近に感じていただくきっかけになれば幸いです。