ケーブル内側シースの素材別役割

ケーブルの内側シースは、導体を物理的、化学的に保護し、その性能を維持する役割があります。以下に主要な内側シース素材の特性と、各素材が導体に与える影響を紹介します。
① PVC (ポリ塩化ビニル)
- 特徴 : 柔軟で機械的強度が高く、標準的な導体保護に最適。
- 用途 : 一般産業用、室内固定配線向け。
② PUR (ポリウレタン)
- 特徴 : 耐油性・耐摩耗性に優れ、工場内の移動や油の多い環境下での導体保護に適します。
- 用途 : 動的用途、高油環境での使用に推奨。
③ PE (ポリエチレン)
- 特徴 : 優れた電気絶縁性能で、地下埋設ケーブルやデータ通信ケーブルに最適。
- 用途 : 屋外や地中敷設、データ通信インフラ設備。
④ TPE - O (ポリウレタンエラストマー)
- 特徴 : 非常に高い耐摩耗性と柔軟性を持ち、可動部分において導体を強力に保護します。
- 用途 : ロボットや移動機器のエネルギーチェーン内使用。
その他、素材別のプロパティを示したものが以下の表です。
PVC | PUR | PE | EPR, EVA | SiR | Foam-PE | PP | TPE-E | HFFR FRNC / LS0H | VPE | TPE-O | PTFE / FEP | |
耐油性 | ● | ●● | 〇 | ◐ | ● | 〇 | 〇 | ●● | ◐ | ◐ | ● | ●● |
耐紫外線性 | ● | ●● | 〇 | ●● | ● | 〇 | 〇 | 〇 | ● | ◐ | ● | ●● |
難燃性 | ● | ● | 〇 | ● | ● | 〇 | 〇 | 〇 | ●● | ◐ | ● | ●● |
ハロゲンフリー | 〇 | ● | ●● | ●● | ●● | ●● | ●● | ●● | ●● | ●● | ● | 〇 |
動的用途 | ◐ | ●● | ● | ◐ | ◐ | ● | ●● | ●● | ◐ | ● | ●● | ●● |
機械的特性 | ● | ●● | ● | ◐ | ◐ | 〇 | ●● | ● | 〇 | ◐ | ●● | ●● |
電気的特性 | ◐ | 〇 | ●● | ● | ● | ●● | ●● | ● | 〇 | ● | ●● | ●● |
化学的特性 | ● | ● | ● | ● | ● | ◐ | ● | ● | ◐ | ◐ | ●● | ●● |
最低温度 | -30 | -40 | -40 | -30 | -60 | -40 | -40 | -40 | -30 | -30 | -30 | -190/-100 |
最高温度 | 105 | 90 | 80 | 60 | 180 | 80 | 105 | 120 | 90 | 120 | 90 | 260/200 |
適用用途 | ほぼ全分野で適合 | 高ダイナミック性/高耐油性 | データテクノロジー、アースケーブル、モーターおよびサーボケーブル | フレキシブル、屋外、湿気、建設現場 | 耐熱ケーブル専用 | データ技術 | 高ダイナミック性 | 高ダイナミック性 | 公共建築物、PVCに代わるハロゲンフリーの代替品 | 風力発電、太陽光発電、温度が105℃を超える環境 | 高ダイナミック性 | 高温、耐薬品性 |
内側シース素材別の選定ポイント
- PVC 素材の場合
標準的な環境でコスト重視の安全確保を目的とする場合に最適。
- PUR 素材の場合
動的な環境での耐久性・油耐性が必要な場合に最適。
- PE 素材の場合
優れた絶縁性を活かした高信頼性用途に最適。
特殊環境へのカスタマイズ対応も可能
HELUKABEL では、標準的な内側シース素材に加え、特殊環境 (高温・化学物質・屋外使用) に適した素材の選定や設計変更など、お客様のニーズに応じたカスタマイズサービスを提供しています。
お客様の環境や用途に応じた最適なケーブル選定を全面サポートいたします。ご相談はお気軽にどうぞ。
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