ドイツ経済を読むための実用指標ガイド

単一の統計では景気の全体像を捉えきれません。景況感（Ifo・PMI）でマインドを、設備投資の行き先で中期の成長ドライバーを、新車販売（モデル別）で実需の強さを確認 — この三点セットで、製造業／インフラに強いドイツ市場の“いま”を立体的に把握できます。Ifo 景況感指数は 2025 年 9 月に 87.7（前月 88.9）へ低下、一方で同月の複合 PMI 速報値は 52.4 と拡張圏を維持。相反する動きは「足元の慎重さ×サービス主導の持ち直し」という現状を示唆します。

• 半導体（Dresden）: TSMC・Bosch・Infineon・NXP の JV「ESMC」に対し、独政府の最大 50 億ユーロ支援が EU で承認。総投資規模 100 億ユーロ超、27 年稼働予定で、自動車・産業向け“成熟ノード”供給力を欧州内に整備します。
• バッテリー（Heide）: Northvolt の約 45 億ユーロ規模の電池工場が着工。再エネ電力を生かした立地で、26 年セル組立開始、29 年完工を計画（約 3,000 人雇用）。※その後の資産売却・再編の動きも報じられており、計画の継続性は政府承認など進捗確認が必要です。
• 海外直接投資（FDI）動向の俯瞰 : GTAI（Germany Trade & Invest）の年次 FDI レポートは、ドイツ進出・拡張プロジェクトの件数・分野を把握する際の信頼ソースです。

読み解きポイント
半導体・電池など自動車サプライチェーン強化が中核。補助金の供給決定・契約締結・着工・量産開始というマイルストーンで進捗確認を。

乗用車の新規登録台数は 2,817,331 台（前年比▲1%）。モデル別トップは VW Golf（100,183台）、続いて T-Roc（75,398台）、Tiguan（67,057台）。輸入ブランドではŠkoda Octavia（50,817台）が首位でした。BEV では Tesla Model Y が 2024 年のトップモデル。最新の月次では 2025 年 8 月の BEV 比率が 19% と電動化も回復基調です。

トップ 10（2024 年・台数）
1) VW Golf 100,183／ 2) VW T-Roc 75,398／ 3) VW Tiguan 67,057／ 4) Škoda Octavia 50,817／ 5) VW Passat 47,720／ 6) Opel Astra 47,601／ 7) Opel Corsa 43,467／ 8) BMW X1 37,154／ 9) SEAT Leon 37,129／ 10) VW Polo 36,757。
出所 : KBA 集計に基づく 外部ダイジェスト 。

読み解きポイント
乗用車は VW 系の厚い裾野が依然強い一方、コンパクト SUV の伸長、輸入ブランドの選好が続きます。モデル別の粘着力は関連部材の内需見通しにも直結。

• Ifo（企業アンケート）: 2025 年 9 月＝ 87.7。製造業・サービス業で評価が後退し、回復期待が一服。
• PMI（購買担当者）: 2025 年 9 月速報＝総合 52.4。サービスが牽引し 4 か月連続の拡張圏、製造は 48.5 で収縮域。

読み解きポイント
先行指標の分岐（Ifo↓／PMI↑）は、需要の質・業種差の大きさを示唆。短期判断では複数指標の合成が不可欠。

• 需要計画 : モデル別販売・BEV 比率の四半期トレンドを在庫政策に反映。
• 投資先の妥当性チェック : 半導体・電池など補助金採択案件の契約・着工・量産時期を KPI 化。
• 為替・鉱材・輸送の感応度 : PMI や Ifo の拡張・収縮に応じた価格条項・納期バッファ設計。

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