鉄道向け防火規格 - EN 45545-2 の概要

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鉄道車両に使われるケーブルや材料は、万一の火災時に「着火しにくい」「延焼しにくい」「有害煙を最小化する」ことが求められます。欧州で広く採用され、日本国内の鉄道関連プロジェクトでも参照される EN 45545 は、こうした要求を体系化した国際的な安全基準です。本記事では、その中核となる EN 45545-2(材料・部品の火災時挙動)の考え方と試験の枠組み、そして当社が扱う準拠製品の一例をご紹介します。

EN 45545-2 の基本 : R 要件とハザードレベル(HL)

EN 45545 は 7 部構成で、Part 2(EN 45545-2)は「材料・部品の火災時挙動」の要求事項を定義します。用途ごとに R1 〜 R28 の「要求セット(Requirement Set)」が設定され、運行条件や避難難易度に応じて HL1 〜 HL3 ハザードレベルが適用されます(HL3 が最も厳格)。対象材料・部品は、規定の試験方法と判定基準で評価され、要求セット×ハザードレベルの適合を満たす必要があります。

代表的な評価観点

  • 発火性・延焼性 : 炎の広がりや自己消火性の評価
  • 発煙性 : 煙の発生量(視認性への影響)
  • 有毒性 : 煙中有害成分の抑制
    これらは車内避難時間の確保や二次災害の防止に直結します。

HELUKABEL の鉄道向けソリューション

HELUKABEL は、鉄道車両・インフラ用途で EN 45545-2 に準拠するケーブル群を提供しています。特に、ハロゲンフリー/難燃/耐振動設計など、鉄道分野で必要とされる特性を備え、車両内の電力・信号伝送から地上設備まで幅広く対応します。

例:HELUTHERM® 145 / HELUTHERM® 145 MULTI-C

  • HELUTHERM® 145 : 耐熱単芯タイプ。火災時の特性が強化された設計。
  • HELUTHERM® 145 MULTI-C : 多芯・シールド構成などのバリエーションを備え、「保護(Protection)= DIN EN 45545-2 に準拠」を明示。鉄道・輸送分野での使用に適します。

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なぜ EN 45545-2 準拠が重要か(お客様メリット)

  • 安全性の可視化 : 規格準拠 = 客観的な安全性能の証明
  • 調達リスク低減 : 国際案件・グローバルサプライチェーンでも仕様整合が容易
  • ライフサイクル適合 : ハロゲンフリー/低煙・低毒性により、保守時の安全性・サステナビリティにも寄与
  • 設計の自由度 : R 要件× HL レベルに合わせて最適なケーブル選定が可能(例:客室内配線、機器室、床下、トンネル走行比率が高い路線等)

プロジェクトへの適用ステップ(推奨フロー)

  • 使用環境を整理 : 車種・区画・避難条件から HL1 〜 HL3 を確定
  • 要求セットを特定 : 対象が「配線・ケーブル」「内装材」「ダクト」等どれに該当するかで R 要件を選定
  • 製品選定 : EN 45545-2 適合のケーブル(例:HELUTHERM® 145 / HELUTHERM® 145 MULTI-C)を型式・サイズ・シールド有無で決定
  • 文書化 : 試験報告書・宣言書(DoC)・図面・適合証跡を一元管理
  • 現地要件確認 : 国内規制・事業者仕様との整合を最終チェック(例 : 他規格 EN 50264/50306 や車両メーカー要求との突合)

お問い合わせ

HELUKABEL GmbH(ヘルカーベル)はドイツ本社を拠点に、世界各国で鉄道用途のケーブルを短納期でご提供します。日本国内のご相談は HELUKABEL Japan までお気軽にお問い合わせください。

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