バンドル火災試験 - EN 60332-3-24 の概要
火災時の安全性は、ケーブル選定における最重要テーマの一つです。EN 60332-3-24(IEC 60332-3-24)Category C は、複数本を束ねて垂直に設置したケーブル(bunched cables)の炎の上方延焼性を評価する国際試験規格です。設計者・購買担当者・施工会社の皆さまが誤解なく選べるよう、試験の狙い・方法・関連規格との関係、そして当社の適合製品をわかりやすく解説します。
EN 60332-3-24(IEC 60332-3-24)とは
- 評価対象 : 垂直に取り付けた束ね配列の電線/光ファイバーケーブル
- 目的 : 垂直方向の延焼(Flame Spread)を抑えられるかを評価
- Category C の条件(代表例):
- 試験は標準ラダー(試験梯子)の前面に試料を取り付けて実施
- 非金属材料の公称体積 1.5 L/m となる本数を用意
- 炎の適用時間 20 分で評価
※合否は規格で定義された損傷高さ・消炎状態等で判定されます。
鉄道向け規格(EN 45545-2)との関係
EN 60332-3-24 の試験結果は、鉄道車両の火災安全規格 EN 45545-2 における材料・部品の火災挙動分類の根拠としても用いられます。鉄道・トンネル・地下設備などの高リスク環境で、規格に基づく選定が求められる理由がここにあります。
試験の流れ(イメージ)
- 規格に沿って試験本数を用意(非金属材料体積を 1.5 L/m に調整)
- ラダー前面へ垂直マウントし、規定のバーナーで 20 分間加熱
- 試験後、規格で定める延焼高さ・損傷範囲などを測定して判定
設計・調達の現場では、IEC/EN 番号と “Category C” の明記を確認することが重要です。
HELUKABEL の適合製品(一例)
当社では、EN/IEC 60332-3-24(Category C)への適合をデータシートで明記した製品をお取り扱いしています。
1) HELUDATA® EN-50288-7 FIRE RES OSA 500
- 用途 : 石油・ガス・石化プラント等の過酷環境での信号伝送
- 特長 : 180 分の回路機能維持(IEC 60331-21)/LSZH/直埋設可 ほか
- 規格記載 : DIN EN 60332-3-24/IEC 60332-3-24(Cat. C)をデータシートに明記。
2) JB-750 HMH(および JB-750 HMH-C)
- 用途 : 制御・計測用(機械・生産ライン・空調・製鉄所 等)
- 特長 : ハロゲンフリー・高難燃・LSZH・耐油、U0/U=450/750V
- 規格記載 : DIN EN 60332-3-24/IEC 60332-3-24 をデータシートに明記。
※上記は一例です。仕様(芯数・断面・遮蔽・アーマー 等)や他規格(IEC 60332-1-2, IEC 60754, IEC 61034 など)の同時要件もご相談ください。
なぜ“束ね試験”が重要か
実設備では複数のケーブルをラックや貫通部で束ねて敷設するのが一般的です。単条試験(IEC/EN 60332-1-2)に合格していても、束ねた状態の延焼挙動は別途評価が必要——それが 60332-3-24(Category C)です。区画延焼リスク低減・避難時間の確保・設備損害の抑制に直結します。
調達・設計のチェックポイント
- データシートに「EN/IEC 60332-3-24(Cat. C)」の明記があるか
- LSZH(低発煙・ハロゲンフリー)や腐食性・発煙性の試験値も合わせて確認(IEC 60754 / IEC 61034 等)
- 鉄道等では EN 45545-2 に基づく要求分類を事前に確認
日本のお客様へのサポート
HELUKABEL は、ドイツ本社のグローバル供給網と技術部門と連携し、仕様選定~見積~納期~各種証明書の手配までワンストップで支援します。日本国内案件(鉄道/プラント/データセンター/ビル設備 等)向けの短納期搬送やカスタム対応も ご相談ください 。
関連リンク: 燃焼試験 - IEC 60332 規格の概要