石油・ガス・化学産業の配線トラブル事例

PV ケーブルの耐候・耐熱の考え方の失敗と対策

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この記事の内容(要約)

石油・ガス・化学プラントで太陽光発電(PV)設備を導入する際、PV ケーブルの「耐候(紫外線・湿気・温度変動)」と「耐熱(周囲温度・熱源・集熱)」の見立てを誤ると、被覆割れ →浸水 →絶縁低下・地絡 といった不具合が起こりやすくなります。

本記事では、

をまとめます。

なぜ「石油・ガス・化学」×「PV 配線」はトラブルが起きやすいのか

石油・ガス・化学産業の現場では、PV 設備自体は屋外(屋根・架台・遊休地)にある一方、周囲環境は一般的な住宅屋根より過酷になりがちです。

  • 高温要因 : 熱源(配管・機器・蒸気ライン)、高い周囲温度、日射による集熱
  • 耐候要因 : 強い紫外線、温度の日較差、湿気、降雨、海塩(沿岸部)、粉塵
  • 化学要因 : 酸・アルカリ雰囲気、アンモニア、油ミスト、溶剤蒸気など
  • 施工要因 : ケーブルトレイ長距離、貫通部が多い、他系統ケーブルとの混載

「PV ケーブルは屋外用だから大丈夫」と一括りにすると、温度・化学雰囲気・端末処理の“抜け”が生まれ、結果として保守工数や停止リスクが増えてしまいます。

失敗例 1 : 温度想定が甘く、被覆や絶縁が早期劣化

【よくある状況】

  • 日射が強い架台上でケーブルが密集し、放熱できず温度が上がる
  • ケーブルルートが熱源の近く(配管・機器の近傍)を通っている
  • ケーブルトレイ混載で通電密度が上がり、導体温度が上がる

【起こりがちな不具合】

  • 被覆の硬化・ひび割れ、端末部の収縮・隙間
  • 絶縁抵抗の低下、地絡、発電量低下、エラー停止

【対策(設計)】

  • 周囲温度だけでなく「熱源からの輻射」「日射による集熱」「束ね・混載」「換気」を含めて温度を見積もる
  • ルート設計で熱源から距離を取り、必要なら遮熱・ダクト化・保護管を検討
  • ケーブルの許容温度条件(仕様)を必ず確認し、余裕を持った選定にする

【対策(施工・保守)】

  • 束ねすぎない(放熱スペースを確保)
  • トレイ内の偏りや局所的な“密集ポイント”を作らない
  • 点検では「日当たりの強い区間」「熱源近傍」「端末部」を優先的に確認

失敗例 2 : 屋外耐候(UV・湿気・温度変動)の見落としで、被覆割れ→浸水

【よくある状況】

  • 屋外区間に屋内向け材料を混ぜてしまう(在庫流用・短納期対応で起こりやすい)
  • ケーブルグランド/端末部材が屋外長期曝露に適していない
  • 急な温度変動で端末部のシール性能が落ちる

【起こりがちな不具合】

  • 被覆の微細クラック → 毛細管現象で浸水 → 絶縁劣化
  • 端末からの浸水 → コネクタ腐食 → 接触不良

【対策】

  • 屋外曝露の区間は「耐候(UV・オゾン・湿気)」「温度変動」を前提に、材料・構造を統一する
  • “ケーブル本体が OK でも、端末(グランド/コネクタ/シール)が弱い”と浸水経路になるため、端末をセットで設計・選定
  • 貫通部や盤への引き込み部は、ループ(ドリップループ)で水切りを設計に入れる

失敗例 3 : 化学雰囲気(酸・アルカリ・アンモニア等)を想定せず、膨潤・応力割れ

【よくある状況】

  • ケーブルが薬品ミストや洗浄剤、アンモニア、油分に晒される
  • 保護管内で蒸気がこもり、材料への影響が加速する

【対策】

  • 「何が付着/曝露するか(薬品名・濃度・温度・頻度)」を事前に洗い出し、耐性の確認を必須にする
  • 必要に応じて、保護管・ダクト・ルート変更で“曝露そのもの”を減らす(材料選定だけに頼らない)

※HELUKABEL の太陽光発電向けケーブル「 SOLARFLEX® 」は、難燃性・ハロゲンフリーに加え、オゾン、紫外線、酸・アルカリ、加水分解、アンモニアへの耐性をもちます。

失敗例 4 : 端末処理(グランド/コネクタ/圧着)の設計が弱く、局所発熱・浸水が起点に

【よくある状況】

  • 盤・接続箱の引き込み部で、グランドやシール材が紫外線/温度変動に追従できない
  • コネクタの嵌合や圧着が不十分で接触抵抗が上がる
  • ケーブルが端末部で引っ張られ、ストレインリリーフが不足

【起こりがちな不具合】

  • 端末部の局所発熱 → 変色・溶融
  • 微小隙間から浸水 → 腐食・絶縁劣化

【対策】

  • 端末は「環境(屋外/薬品/温度)×保護等級(IP)×機械的ストレス(引張・振動)」で選ぶ
  • 施工品質のばらつきを減らすため、圧着工具・トルク管理・検査基準(外観/導通/絶縁)をセットで運用

失敗例 5 : ルート設計と固定方法の“ちょっとした施工”が寿命を縮める

【よくある状況】

  • 鋭利なエッジ、金属バリ、角部で被覆に傷
  • 結束バンドの締めすぎ(局所的な圧迫でクラックが進行)
  • 曲げ半径が小さい、可動部での余長不足

【対策】

  • エッジ保護材、保護スリーブ、サドル間隔の適正化で“傷を作らない”
  • 固定は「保持」と「圧迫」を分けて考える(締め付けすぎない)
  • 点検では、角部・貫通部・風で動く区間・振動源の近傍を優先

迷ったらここだけ押さえる : PV 配線の“再発防止チェックリスト(設計〜保守)”

  • 環境 : 最大/最小温度、日射、UV、湿気、粉塵、塩害の有無
  • 熱源 : 配管・機器近傍、輻射熱、トレイ混載、束ね密度
  • 化学 : 酸/アルカリ/アンモニア/油/溶剤など曝露の有無(頻度・濃度・温度)
  • 端末 : グランド/コネクタ/シール材の屋外耐候性、IP、ストレインリリーフ
  • 施工 : 曲げ半径、エッジ保護、固定方法(締め過ぎ防止)、水切り(ドリップループ)
  • 点検 : 優先点検箇所(熱い区間・日当たり・端末・角部)と周期を決める

HELUKABEL でできること(製品検索・相談窓口)

HELUKABEL は、ケーブル・電線・ケーブル付属品をグローバルに提供するメーカー/サプライヤーです。

※本記事は一般的な考え方の整理です。実際の選定では、設置場所の温度・化学雰囲気・ルート条件・規格要求により最適解が変わります。条件を共有いただければ、用途に沿った候補整理・確認事項の洗い出しをお手伝いします。

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