機械・プラント建設向け : 導体サイズ(SQ/mm²/AWG)の考え方 入門(設計・選定の基本)

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なぜ「導体サイズ(SQ/mm²/AWG)」で手戻りが起きるのか(機械・プラント建設の背景)

機械・プラント建設の配線では、設計(図面・仕様書)→調達→製作(制御盤・配線)→現地据付→試運転…と工程が長く、途中で“サイズ表記の解釈違い”が起きると影響が一気に広がります。たとえば、

  • 端子台に線が入らない/フェルール(圧着端子)が合わない
  • 期待した電流が流せず発熱・トリップが起きる
  • 長距離で電圧降下が大きく、機器が誤動作する
  • 海外図面(AWG)と国内調達(SQ)が混在して発注ミスになる

といった“ありがちな事故”は、導体サイズの単位と判断軸を整理するだけでかなり防げます

SQ・mm²・AWG の違いを 3 分で整理(用語と考え方)

  • SQ(スケア): 日本でよく使われる表記。実質的には「断面積(mm²)」を指します(例 : 2SQ=2mm²)。
  • mm²(平方ミリ): 断面積をそのまま数値で表す国際的に一般的な表記(欧州など)
  • AWG(American Wire Gauge): 主に米国系の表記で、導体の直径ベースの規格。数値が小さいほど太い、という“逆向き”の尺度です。

重要ポイント : 換算はできますが、完全なイコールではありません。
同じ「16AWG」でも製品規格や構造によって断面積がわずかに違うことがあります。換算表は目安として使い、最終判断は製品データシート(仕様)で確認するのが基本です。

代表的な換算(目安)

※以下は代表例(概略)。最終的には製品仕様でご確認ください。

  • 0.5mm²(0.5SQ)≒ 20AWG
  • 0.75mm²(0.75SQ)≒ 18AWG
  • 1.5mm²(1.5SQ)≒ 16AWG
  • 2.5mm²(2.5SQ)≒ 14AWG
  • 10mm²(10SQ)≒ 8AWG
  • 25mm²(25SQ)≒ 4AWG

用途別に変わる“要求仕様”を押さえる(機械・プラント建設)

導体サイズは「電流(A)だけ」で決めると失敗します。機械・プラントでは特に、用途ごとに“負荷の性質”と“施工条件”が違うからです。

制御盤内(短距離・高密度配線)のポイント

  • 束線が多い=放熱条件が悪い→許容電流に余裕が必要
  • 端子台・フェルールとの適合(外径・導体断面)を先に確定
  • 施工性(より線の細かさ、被覆材の滑り、曲げやすさ)も重要
  • 関連製品例: 制御・接続ケーブル

モータ/ヒータなど動力系(電流・温度・電圧降下)のポイント

  • 連続電流+起動電流(突入)を想定し、温度上昇を抑える
  • 配管/ダクト、屋内外、周囲温度で許容電流が変わる
  • 距離が伸びるほど電圧降下の影響が増える(特に24V系の制御電源)
  • 関連製品例 : 電力・エネルギー用ケーブル

可動部(ドラッグチェーン/ロボット/ケーブルベア)のポイント

  • 繰返し屈曲では「導体のより線構造(細より)」が寿命に直結
  • 曲げ半径、移動速度、ストローク、ねじれ条件を先に整理
  • 同じ mm² でも“高屈曲タイプ”かどうかで信頼性が変わる
  • 関連製品例 : ドラッグチェーン用高屈曲ケーブル

導体サイズの選定ポイント(チェックリスト)

ここからが実務の“判断軸”です。SQ/mm²/AWG の表記を整理したら、次の順でチェックすると迷いにくくなります。

1)必要電流(A)を決める
- 連続電流/突入電流/デューティ(ON/OFF)を分けて考える
- 温度上昇を抑えたい回路は余裕を大きめに

2)許容電圧降下を決める(長距離・低電圧ほど重要)
- 電源電圧(例 : AC400V、AC230V、DC24V)と負荷特性を確認
- 長さ、往復距離、配線方式(単相/三相/直流)を踏まえる
- 「動くと誤動作する」「センサーが不安定」などは電圧降下が原因のことも

3)敷設条件で“実効許容”を補正する
- 周囲温度(高温ほど不利)
- 束線・配管・ダクト(放熱が悪いほど不利)
- ケーブルの本数密度、盤内のエアフロー

4)端末処理・接続部品との適合を確認する
- 端子台の対応断面積、フェルールの適合範囲
- 圧着工具(ダイス)と組み合わせた時の品質(引張・接触抵抗)
関連製品例 : フェルール/圧着端子/工具

失敗しがちな点(よくある落とし穴)

  • 換算表を“絶対値”として扱い、端子/フェルールが合わない
  • 図面が AWG、現場が SQ で、誰も気づかず発注→納期ロス
  • 電流だけ見て、束線・周囲温度・配管で実際は発熱
  • 可動部に「一般用ケーブル」を使って断線(屈曲寿命の見落とし)
  • 仕様書に「◯◯SQ 相当」しか書かず、サプライヤー間で解釈が割れる

対策はシンプルです。

  • 断面積(mm²)を基準にしつつ、必要なら SQ/AWG 表記も併記
  • 端末部品とセットで“適合範囲”を確定
  • 可動条件がある回路は、最初に「高屈曲対応」を前提にする

仕様書に書くべき項目(テンプレ)

導体サイズ以外も含めて、最低限これだけ書くと調達・施工が安定します。

  • 用途 : 制御/動力/通信/計装/可動(ドラッグチェーン等)
  • 導体 : 断面積(mm²)・表記(SQ/AWG)・導体クラス(より線の種類)
  • 構造 : 芯数、シールド、撚り、外径(目安)
  • 定格 : 電圧、温度範囲、難燃性、耐油/耐薬品、屋外耐候
  • 敷設 : 配管/ダクト/束線、移動・屈曲条件(曲げ半径、回数目安)
  • 数量/納期 : 年間見込み、ロット、希望納期、代替可否
  • 図面/端末 : 端子台型式、フェルール仕様、圧着方法(必要なら)

HELUKABEL に相談する時の情報(最短で答えが出る“伝え方”)

HELUKABEL では、機械・プラント建設の用途条件に合わせたケーブル選定をご支援します。ご相談時は、次の情報があると初回から精度の高い提案が可能です。

  • 使用環境 : 温度、油、薬品、屋内外、湿度
  • 可動有無 : ドラッグチェーン、ねじれ、曲げ半径、ストローク
  • 電気条件 : 電圧、電流、距離、シールド要否、EMC要求
  • 規格 : 必要な認証・適合(社内標準、輸出先要求など)
  • 数量 : 試作/量産、希望納期

製品の候補探しは、 製品検索ツール が便利です。
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