ドイツの子どもたちが灯すあかり――聖マルティンの日(St. Martin's Day)とは?
はじめに : ドイツの秋を彩る「聖マルティンの日」
11 月のドイツの街を歩くと、夕方になるにつれて、小さな子どもたちが色とりどりのランタンを手に歌いながら行進している光景に出会います。
この行事が 「聖マルティンの日(Martinstag / St. Martin's Day)」。ドイツでは幼稚園や小学校を中心に、毎年とても大切にされている伝統行事です。
この記事では、日本のお客様に向けて、
- 聖マルティンって誰?
- いつ行われるの?
- どんなふうにお祝いするの?
- ハロウィンとの違いは?
といったポイントを分かりやすくご紹介します。
聖マルティンって誰?(歴史と物語)
「聖マルティン」は、4 世紀頃に実在した トゥールのマルティヌス(Martin of Tours) という人物がもとになっています。
代表的なエピソードがこちらです。
- 若い頃、マルティンは ローマ帝国の騎兵隊の兵士 でした。
- ある 寒い冬の日、城門近くで凍えそうな乞食に出会います。
- 自分のマントを半分に切り、乞食に分け与えました。
- その夜、マルティンは夢の中で、自分が助けた乞食の姿で現れたキリストを見たと言われています。
この「持っているものを分かち合う心」が、聖マルティンの日の中心テーマです。ドイツの子どもの行事でも、「分かち合い」「思いやり」を学ぶ日として語られます。
いつ行われる?日付と地域による違い
- 基本は「11月11日」
聖マルティンの日の本来の日付は 11 月 11 日 です。多くの地域では、11 日またはその前夜(10 日〜11 日の夕方)にイベントが行われます。
- プロテスタント地域では 11 月 10 日のことも
一部のプロテスタント地域(特に北ドイツなど)では、宗教改革者マルティン・ルターの誕生日(11 月 10 日) の影響を受けて、10 日に行われる「Martinisingen」という風習があり、聖マルティンの行事と混ざり合っている地域もあります。
- 実際の開催日は「だいたいその前後」
幼稚園・学校や自治体によって、平日の夕方 や 週末 にずらして行うことも多く、同じ街でも日によって複数回ランタン行列が行われることもあります。
どうやって祝う?ドイツ各地の聖マルティンの日
子どもたちのランタン行列(Laternenumzug / Laternelaufen)
聖マルティンの日といえば、何といっても ランタン行列(Laternenumzug / Laternelaufen) です。
- 幼稚園・保育園・小学校の子どもたちが、自分で手作りした紙やプラスチックのランタンを持って、夕暮れの街を歌いながら行進 します。
- 先頭には、赤いマントを着た「聖マルティン役」の大人が馬に乗って登場 することもあり、子どもたちはその姿を追いかけるように列を作ります。
- 行列の途中では、「Ich geh mit meiner Laterne(ぼくはランタンを持って歩く)」など、聖マルティンやランタンをテーマにした伝統的な歌が歌われます。
特にドイツ西部(ラインラント地方など)では非常に盛んで、大規模なランタン行列やパレードが行われる街もあります。
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かがり火(Martinsfeuer)と物語の再現
ランタン行列の終点では、大きなかがり火(Martinsfeuer) が焚かれることも多く、ここで
- 聖マルティンがマントを分け与える場面を再現した「寸劇」
- 牧師や司会者によるお話
- 子どもたちによる合唱
などが行われます。
「暗い季節にあかりをもたらす」という象徴性もあり、アドベント(クリスマス準備期間)へ向かう“光のはじまりのイベント”としても位置づけられています。
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聖マルティンのごちそう:マルティンスガンスと甘いパン
聖マルティンの日は、食文化 としても楽しまれています。
- マルティンスガンス(Martinsgans)
多くの地域では、聖マルティンの日またはその前後に、ガチョウのロースト(Martinsgans) を食べます。レストランの季節メニューとしても定番で、
赤キャベツ(Rotkohl) と ジャガイモ団子(Knödel) を添えた伝統的な一皿がよく見られます。
- Weckmann / Stutenkerl などの甘いパン
特にラインラント地方では、以下のような 甘いパンのお菓子 が配られます。
Weckmann / Stutenkerl : 人型をしたパン(レーズンや砂糖をトッピング)
Martinshörnchen : クロワッサン型のパンで、聖マルティンのマントや、馬の蹄鉄を象徴すると言われます。
子どもたちはランタン行列の後、これらのパンやお菓子、チョコレートなどをもらうのを楽しみにしています。
ハロウィンとの違い
日本ではちょうど同じ時期に「ハロウィン」も注目されていますが、聖マルティンの日はハロウィンとはまったく違うコンセプト の行事です。
共通点
- 子どもが主役
- 夜にランタンやライトを持って歩く
- お菓子をもらえる地域もある
大きな違い
1. テーマ
- ハロウィン : 仮装・“ちょっと怖い”雰囲気・エンターテインメント性聖
- マルティンの日 : 分かち合い・優しさ・思いやり がテーマ
2. スタイル
- ハロウィン : 仮装、トリック・オア・トリート、パーティー
- 聖マルティン : ランタン行列、歌、物語、家族的・教育的な雰囲気
ドイツでは、子どもたちが「誰かと分け合うことの大切さ」を学ぶ教育的イベントとして、学校・教会・地域コミュニティが一体となって取り組む姿が印象的です。
ドイツ文化と HELUKABEL : 光とエネルギーを日本へ
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聖マルティンの日は、「光を分かち合う」「誰かを助けるために自分のものを差し出す」という、美しいメッセージを持つ行事です。
HELUKABEL は、ドイツで培った技術と品質で、「エネルギーと情報を安全に届ける」という形で“光”を世界に届ける役割 を担っています。
helukabel.jp を通して、製品情報だけでなく、こうしたドイツの文化や価値観も日本のお客様にお伝えしていきたいと考えています。