「Stargate Project」が加速させる“電力×通信”ケーブル需要
米国で進む AI インフラ投資「Stargate Project」は、"データセンター建設=電力と通信を同時に巨大化させるプロジェクト”です。投資額・計画規模が桁違いなため、データセンター事業者だけでなく、電力インフラ、建設、設備、通信、部材調達まで含めた広い産業で、ケーブル需要の押し上げ要因になります。
1. Stargate Project とは
OpenAI は 2025 年 1 月、米国内で OpenAI 向け AI インフラ(主にデータセンター)を拡大する計画として「Stargate Project」を発表し、最大 5,000 億ドル規模の投資意図を示しました。
また、2025 年 9 月には、OpenAI・Oracle・SoftBank が米国内の新たなデータセンター拠点計画を発表し、計画容量は“ギガワット級”に拡大していると報じられています。
一方で、巨大プロジェクトゆえに、資金調達・建設人材・資材制約・地域の許認可などがボトルネックになり得ることも、直近の報道で示唆されています(例 : 資金面の不透明感や建設計画の揺れ)。
2. なぜ「ケーブル需要」が伸びるのか : 3 つの構造要因
要因① : データセンターは“電力設備そのもの”だから(受変電〜配電の物量)
AI データセンターは、GPU / アクセラレータを大量に稼働させるため、電力の取り込み・変電・配電・冗長化(UPS/発電/蓄電)が最優先になります。計画がギガワット級に達すると、単に“サーバーラックが増える”だけでなく、送配電・構内配電のケーブル、アクセサリ、端末処理、耐熱・難燃要件まで含めて需要が厚くなります。
さらに米国では、AI 電力需要に対応するために、再エネだけでなくガス火力・原子力なども含めた“オール・オブ・ジ・アバブ(総動員)”の電源確保が語られており、電源側の増強=インフラ配線の増加にもつながります。
想定される需要領域(例)
- 送配電連系(変電所・開閉設備)周辺の電力ケーブル
- 構内幹線(メイン配電〜フロア/列単位の分電)
- 設備ケーブル(空調・冷却・ポンプ・監視・防災・BMS)
- 施工短縮を狙った“プレアッセンブリ化”需要(ハーネス、端末加工、ラベル管理)
要因② : “高速化”で通信ケーブルの世代が上がる(銅・光の両輪)
AI 時代のデータセンターは、ネットワークも高速化が前提です。構内の LAN / 配線では、用途に応じて CAT 6/6A/7/8 などの高カテゴリ、またバックボーンでは光ファイバーが重要になります。
HELUKABEL でも、ネットワークケーブルのカテゴリ比較や、データセンター/バックボーン用途を含む 解説 を公開しています(日本語)。
ここでのポイント
- “とりあえずCAT5e” ではなく、将来増速を見据えたカテゴリ設計が必要
- 光配線はケーブル単体だけでなく、接続部材・配線設計・施工性がコストと工期に直結
要因③ : 防災・難燃・低発煙が“仕様の前提”になる(安全要件の強化)
データセンターは、ケーブルがラック/ラック間・天井・床下に密集しやすい環境です。よって、束ね敷設時の燃焼挙動(例 : EN/IEC 60332-3-24)や LSZH(低発煙・ハロゲンフリー)など、火災安全要件が調達仕様に入りやすくなります。
3. 「今後のケーブル需要」はどの産業に波及するか(日本企業向け視点)
Stargate Project のような超大型 AI 投資は、米国国内需要で完結しません。日本の企業・サプライヤーにとっても、次の観点で影響が出ます。
- グローバル調達のひっ迫 : 銅・アルミ・樹脂・光ファイバー周辺部材のリードタイム管理
- 規格・認証の整合 : UL/CSA 等、地域要件の確認(輸出装置・現地工事の前提条件)
- 短工期対応 : プレアッセンブリ、在庫・定番化、施工ミスを減らす表示/梱包設計
- “電力×通信”を同時に提案できる体制 : 設備・配線・ネットワークが一体で最適化されるため
HELUKABEL として提供できる価値
HELUKABEL は、ケーブル・電線・付属品の国際的メーカー/サプライヤーとして、幅広い産業・インフラ用途のソリューションを提供しています。また、ネットワークケーブル(カテゴリ選定)、光ファイバー、難燃規格解説など、設計・調達に役立つ情報発信も日本語で行っています。
Stargate が示すのは “AI=配線産業の拡張” という現実
Stargate Project は、AI の競争軸を「モデル」から「インフラ」に引き上げました。ギガワット級の AI データセンターが増えるほど、電力ケーブル・制御ケーブル・データ通信(銅/光)・難燃/低発煙要件を含む配線領域は確実に厚みを増します。
日本の製造業・設備業・商社でも、早い段階から「規格」「工期」「調達」「将来増速」を前提にした配線設計へシフトすることが、高い競争力に直結します。