エンコーダ / フィードバックケーブル徹底解説
エンコーダ / フィードバックケーブルは、サーボモータやリニアアクチュエータなどの「位置・速度・角度」の情報を正確にコントローラへ返送する“信号の生命線”です。ノイズや機械的ストレスにさらされる産業現場では、ケーブルの構造・材料・遮蔽設計が制御品質と装置の稼働率を左右します。本記事では、エンコーダ / フィードバックケーブルの基礎から、用途別の選定ポイント、HELUKABEL の代表シリーズまで、実務に直結する観点で分かりやすく解説します。
エンコーダ / フィードバックケーブルとは
- 役割 : 回転 / 直動エンコーダやリゾルバ、タコジェネレータ等からの信号を、ドライブや PLC へ確実に伝送する専用ケーブル。
- 信号の種類 :
- インクリメンタル(TTL/HTL、RS-422 差動、SIN/COS)
- アブソリュート(SSI、BiSS、EnDat、Hiperface/DSL 等)
- 現場要件 : EMC 対策(編組シールド・ツイストペア・360° アース接続)、ドラッグチェーン耐性、耐油・耐切削油、可とう性、ハロゲンフリーなど。
HELUKABEL はモータ/サーボ/フィードバック(およびハイブリッド=ワンケーブル)領域で幅広いラインアップを提供しています。
よくある課題と失敗例
- ノイズ混入で位置ズレ : 編組密度の不足やシールドの不適切な接地。対策 : 高密度編組+360° クランプでの両端接地。
- 断線・寿命短縮 : ドラッグチェーンの曲げ半径未遵守。対策 : 可動向け PUR シース / 微細撚り(Class 6)構造を選択。
- プロトコル非対応 : インターフェース(EnDat・DSL等)とケーブル構成の不整合。対策 : 対応シリーズの選定。
HELUKABEL の主な推奨シリーズ
1) TOPGEBER® 512 PUR(ドラッグチェーン対応/ハロゲンフリー)
- 用途 : インクリメンタル・ポジションフィードバック、可動部配線。
- 特長 : 高耐摩耗 PUR シース、UL/CSA・EAC・UKCA、DESINA 準拠、ツイストペア+編組シールドで高 EMC。
- 想定プロトコル : TTL/HTL、RS-422 差動、SIN/COS 等。
- こんな現場に : 自動機、ロボット、搬送ラインの高頻度屈曲部。
2) Incremental Feedback-cable C-PUR(オレンジ)
- 用途 : インクリメンタル型のエンコーダ信号伝送。
- 特長 : ドラッグチェーン適合、ハロゲンフリー、UL/CSA、ペア撚り+シールドで低ノイズ。
- 型番例 : 4x2x0.25+2x1mm²(品番 22818)
3) TOPGEBER® 511 PVC(固定配線〜軽可動のコスト最適)
- 用途 : 固定配線主体、軽度の動き。
- 特長 : 低静電容量設計で長距離伝送も安定。PVC シースでコストバランス良好。
4) TOPSERV® Hybrid(電力+フィードバックを一本化)
- 用途 : 盤内配線の簡素化、配線点数削減、軽量化。
- 特長 : 一般的なデジタルインターフェース(EnDat、DSL、EtherCAT 等)に対応するラインナップ。省スペース・省工数・コスト低減に寄与。
選定チェックリスト(保存版)
- プロトコル : インクリメンタル or アブソリュート(SSI/BiSS/EnDat/Hiperface/DSL 等)
- 可動性 : 固定/往復可動/ドラッグチェーン/ねじりあり
- 外被材料 : 耐油・耐摩耗優先なら PUR、常温固定なら PVC、難燃・LS0H 要件ならハロゲンフリー
- EMC : ペア構成、編組密度、360° 接地用アクセサリ(例 : EMC ケーブルグランド)
- 環境 : 油・冷却液・溶接ビード・屋外紫外線・低温/高温
- 規格 : UL/CSA、EAC、UKCA、NFPA 79 等(輸出機にも配慮)
施工と EMC のベストプラクティス
- シールドは両端 360° で確実に接地(編組の面接触を確保)。
- パワー線からの距離確保、交差は直角、同一ラックでは仕切りを活用。
- 許容曲げ半径を厳守。ドラッグチェーンでは速度・加速度・ストロークに応じケーブル荷重を最小化。
- コネクタ側はピンアサイン・シース剥き長さ・ストレインリリーフを規定通りに。
HELUKABEL はドイツ本社を中心に世界 76 拠点で製造・物流・技術支援を展開し、 33,000超えの在庫で日本のお客様にも迅速に供給します。用途・規格・寿命・コストのトータル最適化をご提案します。