電流容量(許容電流)とは?安全な配線設計と HELUKABEL の国際規格対応ケーブル

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電流容量(許容電流)とは?

電線・ケーブルを選定するうえで、最も重要な指標のひとつが「電流容量(許容電流)」です。電流容量とは、「ケーブルに長時間連続して電流を流しても、過度に温度が上昇せず、安全かつ劣化を抑えながら使用できる最大電流値」を意味します。

電流が多すぎると、導体温度が上昇し、

  • 絶縁体の硬化・ひび割れ
  • シース(外被)の劣化
  • 絶縁不良や短絡・火災リスク

などにつながります。そのため、「何アンペアまで流せるか」を正しく理解し、設計・施工段階で反映させることが、安全で長寿命な配線の第一歩です。

電流容量を決める主な要素

電流容量は、ケーブルそのものの仕様だけでなく、使用環境と敷設条件によって大きく変わります。代表的な要素は次のとおりです。

1. 導体断面積・構造

  • 導体断面積(mm²)は、流せる電流量を決める基本パラメータです。
  • 同じ断面積でも、撚り構成や導体クラス(IEC 60228 など)により抵抗値が異なり、結果として許容電流も変動します。

2. 絶縁材・シース材と許容温度

  • PVC、XLPE、ゴム、シリコーンなど、絶縁材・シース材によって許容導体温度(70℃、90℃、105℃ など)が異なります。
  • 許容導体温度が高い材料を使用したケーブルは、同条件でより大きな電流容量を確保できる場合があります。

3. 敷設方法(放熱条件)

  • 空中配線・トレイ配線
  • 管路内配線
  • 地中埋設・ダクト配線
  • ケーブルを束ねて配線する場合

などで放熱性が変わり、同一ケーブルでも許容電流は大きく変化します。特に束ね配線密集配線では、相互に熱を持ち合うため、減少係数を掛けて電流容量を低めに見積もる必要があります。

4. 周囲温度・環境条件

  • 標準的な計算条件(例:周囲温度 30℃)と比べて、
    • 高温環境(工場炉周辺、屋根裏など)
    • 低温環境(冷凍倉庫、屋外寒冷地)
      では許容電流が変わります。また、油、薬品、紫外線、湿気などの環境条件もケーブル寿命に影響します。

5. 多心ケーブル・多条敷設の補正

  • 多心ケーブルや、同一ルートに複数本を束ねる場合は、発熱が集中しやすくなるため、規格や指針で定められた「減少係数(デレーティングファクター)」を掛けて、電流容量を補正します。

設計・施工時に必ず押さえたいポイント

安全でトラブルのない配線を実現するために、以下の点を意識することが重要です。

1. 適用される規格・法令の確認

  • IEC / EN / VDE / UL / CSA / JIS / 建築基準・電気設備技術基準 など、
    適用エリアや用途により要求される規格は異なります。
  • 海外工場や輸出機械では、CEマーキング、CPR(建設製品規則)、各国認証への適合が求められるケースも増えています。

2. 使用環境と設置場所

  • 屋内/屋外/地中/水中/盤内など
  • 周囲温度、湿度、紫外線、油・薬品、塩害 などの有無
  • 防火区画・非常用設備など、難燃・耐火・低煙・ハロゲンフリーが求められるかどうか

これらにより、必要なケーブルの種類や許容電流計算条件が変わります。

3. 配線ルートと放熱・メンテナンス性

  • 盤内での密集配線、ケーブルトレイの充填率、ダクト内の空間など、放熱のしやすさを考慮することで、ケーブルの温度上昇を抑えられます。
  • 将来的な増設スペースも見越したルート設計を行うと、ライフサイクルコスト低減に繋がります。

4. 過電流保護装置との整合

  • ブレーカ/ヒューズの定格電流・遮断特性と、ケーブルの電流容量を整合させることが不可欠です。
  • ケーブルが先にダメージを受けないよう、保護協調を意識した設計が求められます。

自社試験設備と認証

HELUKABEL では、以下のような設備を備えた自社試験センターを運用し、

  • ドラッグチェーン試験装置
  • ねじり試験タワー
  • 耐火試験装置
  • 摩耗試験装置

などにより、実際の使用条件を想定した評価を行っています。

製品は、用途に応じて以下のような国際規格・認証を取得しています。

  • VDE
  • UL / CSA
  • HAR
  • CE(欧州)
  • 各国認証機関による認証 など

そのため、HELUKABEL のケーブルは、IEC / EN / VDE / UL / CSA などの国際規格に準拠した設計が可能であり、グローバル案件でも安心してお選びいただけます。

「カタログ値」と「実際の電流容量」の違い

一般的なカタログや技術資料に掲載されている電流容量表は、

  • 周囲温度
  • 敷設方法
  • ケーブル本数

などを一定条件とした「標準状態」での値です。

たとえば、HELUKABEL の技術記事でも、 日本の JIS 規格とドイツの VDE 規格では周囲温度条件が異なるため、同じケーブルでも許容電流値が変わる といった点が解説されています。

そのため、設計・施工の現場では次のようなステップが重要です。

  • カタログやデータシートの電流容量を確認
  • 周囲温度や敷設方法に応じた補正係数を適用
  • 多条敷設や将来の増設を見越した安全マージンを確保
  • 過電流保護装置との整合を確認

電流容量の検討に必要な情報

HELUKABEL では、ケーブル種別ごとの推奨電流容量を、具体的な使用条件に合わせてご提案しています。お問い合わせの際、次の情報をお知らせいただけると、より早く最適な回答が可能です。

  • 使用する電圧クラス(例:0.6/1 kV、300/500 V など)
  • 必要電流、あるいは負荷の容量(kW)や電流値(A
  • 敷設方法(トレイ、管路、地中、ラック、盤内、ドラッグチェーン可動など)
  • 使用環境(周囲温度、屋内/屋外、油・薬品・湿気・紫外線の有無)
  • 必要な規格・認証(CE、CPR、UL/CSA、VDE、PSE など)
  • 固定配線か、繰り返し屈曲を伴う可動用途か
  • 将来の増設を見込んだ余裕率の希望(例 : 120% 程度など)

これらを総合的に判断し、「どのケーブルを、どの条件で使用した場合に、どのくらいの電流容量まで安全に使用できるか」を具体的な数値としてご案内します。

HELUKABEL 製品は国際規格に準拠し、日本のお客様をサポートします

HELUKABELのケーブルは、欧州の IEC / EN / VDE北米の UL / CSA、その他各国の認証、CPR Euroclass などの国際規格に適合する製品群を幅広くラインアップしており、日本国内の工場設備から、海外拠点・輸出機械まで一貫して対応可能です。

「電流容量(許容電流)を正しく理解し、規格に適合したケーブルを選ぶこと」が、配線トラブルの防止ダウンタイム削減ライフサイクルコスト低減 につながります。

HELUKABEL Japan は、ドイツで培った技術と国際規格対応のノウハウを、日本のお客様の現場に合わせてわかりやすくご提供します。

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