イーサネット規格と「カテゴリ」の関係を解説

image of JP article - test

イーサネットとは?

イーサネット(Ethernet)は、現在もっとも広く利用されている有線ネットワーク規格で、オフィスや工場、ビル設備、データセンターなど、あらゆる場所の LAN(ローカルエリアネットワーク)を支えています。
10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T、10GBASE-T といった名称で表される物理層規格は、すべてツイストペアケーブル上で動作するイーサネットの一種です。

近年は、ギガビット(1 Gbit/s)や 10 ギガビット(10 Gbit/s)通信が標準になりつつあり、産業用途でもイーサネットをベースにした各種フィールドバスや PROFINET、EtherCAT などが広く採用されています。

「イーサネット規格」と「カテゴリ(Cat)」は別物?

イーサネット配線でよく耳にする言葉に「Cat5e」「Cat6」「Cat7」などのカテゴリ(Category)があります。
ここで押さえておきたいポイントは、次の 2 つの規格グループがあるということです。

  • イーサネット規格(IEEE 802.3 系)
    • 例 : 10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T、10GBASE-T など
    • 何 Mbps / Gbps でどのような信号方式・配線方式で通信するかを定めた規格です。
  • 配線カテゴリ規格(ISO/IEC 11801、TIA 等)
    • 例 : Cat5e、Cat6、Cat6A、Cat7、Cat7A、Cat8 など
    • ツイストペアケーブルの伝送周波数帯域(MHz)や性能を定めた規格で、ケーブルの品質レベルを示します。

例えば、1000BASE-T(ギガビットイーサネット)は、最低でも Cat5e 相当のケーブル性能が必要とされます。規格としては IEEE 802.3(物理層)と、ISO/IEC 11801 に定められた Cat5e 以上のケーブルカテゴリが組み合わさって、はじめて安定したネットワークが実現します。

主なカテゴリ(Cat5e ~ Cat8)の違いを比較

ISO/IEC 11801 では、ツイストペアケーブルのカテゴリごとにサポートする周波数帯域クラスが定義されています。
代表的なカテゴリを簡単にまとめると、次のようになります(一般的なオフィス・インフラ用途の目安):

カテゴリ対応クラス周波数帯域の目安代表的な用途例
Cat5eClass D~100 MHz1 Gbit/s までの一般的 LAN、オフィス配線
Cat6Class E~250 MHz1 Gbit/s(標準)、10GBASE-T(短距離)
Cat6AClass EA~500 MHz10GBASE-T を 100 m までサポート
Cat7Class F~600 MHz10GBASE-T、シールド付き構造が基本
Cat7AClass FA~1000 MHz高周波アプリケーション、将来の超高速化を想定
Cat8Class I / II~2000 MHzデータセンターなど 25G/40GBASE-T 向け(距離は 30m 前後)

※実際の到達距離や対応速度は、機器や設計条件により変動します。上記は目安です。

建物内の一般的な LAN では Cat5e~Cat6A、データセンターや特殊用途では Cat7 / Cat7A / Cat8 といったカテゴリが選択されるケースが多く、HELUKABEL のネットワークケーブルラインアップもこれらのカテゴリに幅広く対応しています。

ツイストペアケーブルとイーサネットカテゴリの関係

HELUKABEL Japan では、 「ツイストペアケーブルとは?特長・用途・選定ポイントを詳しく解説」 という記事で、UTP / STP の違いや用途をご紹介しています。

その内容を踏まえつつ、イーサネットカテゴリとの関係を整理すると次のようになります。

  • ツイストペアケーブル = 導体を撚り合わせた構造 : 2 本の導体を撚り合わせることで、電磁干渉(EMI)やクロストークを低減し、安定した信号伝送を実現します。
  • カテゴリ = そのツイストペアケーブルが満たす性能レベル : どれくらいの周波数まで安定して伝送できるか、減衰やノイズ耐性がどの程度かを規定しています。
  • イーサネット規格 = そのケーブルの上でどのような速度・方式で通信するか : 10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T、10GBASE-T などの物理層仕様です。

つまり、ツイストペアケーブルの構造(UTP/STP など)と、カテゴリ(Cat5e/Cat6 などの性能グレード)と、イーサネット規格が組み合わさって、はじめて「どこまで高速・安定に通信できるか」が決まります。

産業用途で特に重要になるポイント

工場やプラント、ロボット、搬送ラインなどの産業用途では、オフィス用途とは違う観点でのケーブル選定が求められます。HELUKABEL の記事 「産業用アプリケーションに適したデータケーブルの選び方」 でも詳しく解説していますが、代表的な注意点は次の通りです。

1. ノイズ環境とシールド構造

  • インバータやモーターが多い現場では、外来ノイズが大きくなります。
  • SF/UTP、S/FTP などのシールド付きイーサネットケーブルを選定することで、通信の安定性が大きく向上します。

2. 可動性(フレキシブル / ドラッグチェーン / ねじり用途)

  • ロボットアームやドラッグチェーン内では、繰り返しの屈曲やねじりに耐える構造が必要です。
  • HELUKABEL では、「CHAIN」「TORSION」「ROBUSTFLEX」など、名前から用途がわかる産業用イーサネットケーブルをラインアップしています。

3. 温度範囲・耐油・耐紫外線・ハロゲンフリーなどの環境条件

  • 周囲温度や油分、紫外線、難燃性など、現場固有の条件を満たす外被材料(PVC、PUR、FRNC 等)を選ぶ必要があります。

4. 規格・認証(UL/CSA、EAC、DNV など)

  • 北米向け設備や船舶用途では、UL/CSA、EAC、DNV といった認証を満たすケーブルが求められるケースも多くあります。

HELUKABEL のイーサネットケーブルラインアップ

HELUKABEL グループは、ケーブル・電線・ケーブル付属品の国際的な大手メーカー&サプライヤーとして、世界 43 カ国に 76 拠点を展開し、 33,000 点以上の在庫とカスタマイズケーブルを提供しています。

その中でも、イーサネット/ネットワーク用ケーブルは、オフィス配線から産業オートメーションまで幅広い用途に対応しています。

建物内ネットワーク向け : HELUKAT® ネットワークケーブル

HELUKABEL の製品検索ページでは、「ネットワークケーブル」カテゴリにて、Cat5、Cat5e、Cat6、Cat6A、Cat7、Cat7e、Cat7A まで、豊富なカテゴリの LAN ケーブルをラインアップしています。

商品カテゴリ例 :

  • LAN ケーブル Cat.5 / Cat.5e
  • LAN ケーブル Cat.6 / Cat.6A
  • LAN ケーブル Cat.7 / Cat.7e / Cat.7A

代表的なシリーズ : HELUKAT® 100 / 155 / 200 / 300 / 450 / 500 / 600 / 1200 / 1500 など

多くの製品で、シールド付き/無し、単線/より線、ハロゲンフリー、難燃性、屋外対応など、用途に応じた仕様を選択できます。
建物内の固定配線には単線タイプ、機器間を接続するパッチコードにはより線タイプを選ぶのが一般的です。
▶ ネットワークケーブル一覧(建物内インフラ向け)

産業オートメーション向け : 産業用イーサネットケーブル

オートメーション技術用ケーブル・電線ページでは、産業用イーサネットケーブルを含む各種オートメーション向けソリューションをご紹介しています。

製品検索ページの 「産業用イーサネット」カテゴリには、PROFINET、EtherCAT などに適した産業用イーサネットケーブルが 50 品目以上ラインアップされています。

代表的なシリーズ例 :

  • HELUKAT® PROFInet A / B / C(Cat.5e、固定配線・可動用・ドラッグチェーン用など)
  • HELUKAT® 200IND / 250S / 500IND / 600IND(Cat.5e~Cat.7e、PUR 外被、ドラッグチェーン対応、ロボット用途)
  • HELUKAT® 600S / 600IND / 600IND Cat.7 / Cat.7e など

特長の一例 :

  • PUR 外被による耐油・耐摩耗性
  • ドラッグチェーン対応、ねじり定格付きで連続動作用途に最適
  • UL/CSA、EAC など国際規格認証を満たすモデルも多数
    産業用イーサネットケーブル一覧

ケーブル選定に迷ったら HELUKABEL へ

HELUKABEL グループは、電気接続技術の専門メーカーとして、ケーブル選定の段階からお客様のプロジェクトをサポートしています。

  • どのカテゴリのイーサネットケーブルを選ぶべきか
  • ツイストペア構造やシールド構造の違い
  • 可動/固定、屋内/屋外、温度条件、規格認証 など

現場の条件に合わせて最適なケーブルをご提案します。
詳細や技術的なご相談は、 HELUKABEL Japan までお気軽にお問い合わせください。

バック