日本の『スーパー戦隊』と欧州の『Power Rangers』の違いを比較

image of JP article - info

日本の「戦隊」と欧州で親しまれる「レンジャー」

同じ“カラフルな変身ヒーローのチーム”に見えても、日本で放送される「スーパー戦隊」と、欧州で広く知られる「Power Rangers(パワーレンジャー)」は、番組の作り方・見せ方・広がり方がかなり違います。

HELUKABEL はドイツ本社を持つグローバルなケーブルメーカーとして、日本と欧州をつなぐ立場から、ビジネスだけでなく文化面でも「違いをわかりやすく整理する」情報発信を続けています。

日本は「スーパー戦隊」、欧州は「Power Rangers」が主流

  • スーパー戦隊 : 東映が制作し、テレビ朝日で放送されてきた日本の特撮チームヒーロー作品群。シリーズの起点としてよく挙げられるのが、1975 年放送開始の『秘密戦隊ゴレンジャー』です。
  • Power Rangers : 日本のスーパー戦隊を“素材”として取り込み、海外(主に英語圏→欧州各国)向けに脚色・再構成して展開されてきたフランチャイズ。実際に Hasbro の公式発表でも、特定シーズンが「日本のスーパー戦隊を原作としてアダプトした」ことが明記されています。

つまり、日本=「戦隊そのもの」/欧州=「戦隊をローカライズしたレンジャー」という構図が基本になります。

違い① : シリーズの更新サイクルと“視聴習慣”

日本(スーパー戦隊)

  • 「毎年テーマが変わる」年替わり感が強く、新しいチーム・新しいメカ・新しい玩具が一気に立ち上がるのが特徴。
  • 作品の世代交代が早い分、子どもが成長しても「自分の世代の戦隊」が記憶に残りやすい。

欧州(Power Rangers

  • 国や言語圏によって放送・視聴の形は違いますが、基本は海外向けに再編集されたシーズン制として受け取られます。
  • 「同じタイトルのブランドが長く続く」印象が強く、世代を超えて “Power Rangers” として認知されやすい。

違い② : 物語の“文化コード”が変わる(学校・家族・ユーモア)

日本(スーパー戦隊)

  • 学校、部活、地域行事、敬語、先輩後輩など、日本の生活文脈が自然に入る。
  • 敵組織や怪人の“言葉遊び”“ダジャレ”“お約束ギャグ”など、幼児〜小学生の生活感に寄せた笑いが強い回も多い。

欧州(Power Rangers

  • 海外の子ども番組の文法(会話テンポ、ジョーク、価値観)に合わせて、キャラクターの関係性や日常パートが再設計されやすい。
  • 同じアクション場面でも、前後の会話や動機づけが変わるため、作品の“温度”が変わって見えます。

違い③ : 表現の調整(編集・規制・見せ方)

Power Rangers は、単純な翻訳ではなく「海外の放送基準に合わせた編集・再構成」が前提です。その結果、次のような差が出やすくなります。

  • 危険表現/暴力表現の扱い(編集・台詞の置き換え)
  • 宗教・文化的記号の出し方(誤解を避けるための調整)
  • “ヒーロー像”の強調点(個人主義・チームワークのバランス など)

違い④ : 玩具・商品展開の設計思想

  • 日本のスーパー戦隊は、玩具展開がシリーズ体験の中心に組み込まれやすい(変身アイテム→メカ→強化形態…と段階的に盛り上げる)。
  • Power Rangers は、その骨格を活かしつつ、海外市場の商習慣に合わせて見せ方を変えることがある(名称、デザイン訴求、店頭での伝え方など)。

違い⑤ : ファン文化の広がり方(欧州は“イベント”が強い)

欧州では、日本発ポップカルチャーの大型イベントが各地で定着し、コスプレやコミュニティが盛り上がりやすい土壌があります(参考記事 : ドイツに浸透する日本ポップカルチャーの力 )。
その中で「戦隊/レンジャー」も、作品単体というより“ポップカルチャーの一部”として親しまれることが多いのが特徴です。

文化の前提が違うからこそ、同じヒーローでも“刺さるポイント”が変わります。日欧の違いを知ると、作品もコミュニケーションも一段深く楽しめるはずです。

バック