NFPA 規格とは?北米向け機械輸出に必要なケーブル選定ポイント
NFPA 規格とは?なぜ日本の設計・調達担当者に関係があるのか
NFPA(National Fire Protection Association : 全米防火協会)は、火災・感電リスクを最小化するための規格やガイドラインを策定している米国の非営利団体です。
その中でも電気設備に関係する代表的な規格が NFPA 70(NEC : National Electrical Code) と NFPA 79(Electrical Standard for Industrial Machinery) です。
日本から米国・カナダ向けに工作機械、生産設備、FA ライン、ロボットシステムを輸出する場合、電気設計・配線・使用ケーブルがこれら NFPA 規格および UL 規格・ローカル法規に適合していることが、現地の検査・立ち上げ・保守の前提条件になります。
NFPA を意識せずに「いつも通りの JIS/欧州仕様」で設計してしまうと、
- 現地で UL / NFPA 要件を満たさず、改造・引き直しが必要になる
- 立ち上げが遅延し、追加コストやペナルティが発生する
- 保険・検査機関から是正要求が出る
といったリスクにつながります。HELUKABEL Japan では、こうしたギャップを埋めるために 国際規格の略語や役割を整理した解説記事 を公開し、日本のお客様が NFPA や UL・VDE・EN などを横並びで理解できるようサポートしています。
NFPA 70 (NEC) : 建物・設備全体の「電気ルールブック」
NFPA 70 (NEC) は、建物や設備全体の電気設備に関する包括的な安全基準です。
配電盤・分電盤、建物配線、ケーブルトレイ配線、接地、保護装置など、工場・ビル・プラントの「電気インフラ」全体について、「どのような条件でケーブルや機器を敷設・使用できるか」が細かく定められています。
ケーブルの観点からは、例えば次のようなポイントが関係します。
- 使用できるケーブル構造(例 : TC、TC-ER、PLTC など)
- 許容電流、温度定格、絶縁材料、難燃性グレード
- ケーブルトレイやコンジットの中か、露出配線(Exposed Run)か
- 屋内/屋外、乾燥/湿潤/水中などの敷設環境
HELUKABEL の北米向けケーブルは、UL 62・UL 758 などの規格と NFPA 70 (NEC) の要求事項との関係を踏まえて設計・評価されており、米国市場での使用を前提としたポートフォリオが整備されています。
NFPA 79 : 産業機械のための電気安全規格
NFPA 79 は、「Industrial Machinery(産業機械)」の電気装置に特化した安全規格です。工作機械、組立ライン、搬送装置、ロボットセルなど、工場内に設置される機械の内部配線や制御盤、ケーブル選定方法が対象になります。
NFPA 79 では、例えば次のような項目が規定されています。
- 機械内部で使用するケーブルの種類・定格・保護方法
- 制御回路・動力回路・安全回路ごとの配線要件
- ケーブルの最小曲げ半径や固定方法
- 接地・絶縁距離・過電流保護・短絡保護
- エラー時の安全停止や非常停止回路の構成
HELUKABEL は、オートメーション技術向けの製品ポートフォリオの中で、UL/CSA 認証や NFPA 79 に準拠したケーブルソリューションを多数ラインアップしており、固定配線・可動部・ケーブルトレイ配線など、現場の要求に応じた選定が可能です。
詳細は、
産業別ページ
をご覧ください。
NFPA・UL・その他国際規格の関係をどう整理するか
北米向け設計では、「NFPA(ルールブック)」と「UL・CSA(試験規格)」の関係を理解しておくことが重要です。
- NFPA 70 / NFPA 79
- 設備・機械として「どういう条件で安全に使用されるべきか」を定める規格
- 現地の電気検査やインスペクションで参照されることが多い
- UL / CSA 規格(UL 62、UL 758 など)
- ケーブルや機器そのものの構造・試験方法・マーキングを定める規格
- NFPA 70 / 79 で「UL Listed ケーブルを使用すること」などと参照されることがある
日本の設計者にとっては、「NFPA で求められている条件を満たす UL / CSA ケーブルを選ぶ」という意識を持つと整理しやすくなります。
HELUKABEL Japan の記事 「英国・ドイツ・米国で異なる『長さの単位』と『電線・ケーブル規格』」 では、欧州 EN/CE と米国 UL/NEC の違いを実務者目線で整理しており、NFPA 70 (NEC) との関連も含めて確認いただけます。
NFPA 79 準拠ケーブル選定のチェックポイント
北米向け設備・機械のケーブル選定において、最低限押さえておきたいポイントを整理すると次の通りです。
1. 用途と敷設方法の整理
- 固定敷設か、ドラッグチェーンなどの可動部か
- ケーブルトレイ内か、露出配線 (ER : Exposed Run) か
- 屋内/屋外、油・クーラント・溶接スパッタの有無
2. 回路ごとの要求事項
- 動力回路(モーター、ヒーターなど)
- 制御回路(センサー、アクチュエータ、PLC I/O)
- 安全回路(非常停止、保護回路)
3. 規格・マーキングの確認
- NFPA 79 への適合
- UL / CSA のファイル番号・スタイル
- TC-ER、PLTC-ER などのトレイケーブル表示(必要に応じて)
4. EMC・ノイズ対策
- シールド構造(編組・フォイル)
- 360° アース処理のしやすさ
- VFD ケーブルやエンコーダケーブルとの組み合わせ
HELUKABEL グループでは、こうした要件に対応する NFPA 79 準拠の制御・動力ケーブルや TC-ER ケーブル を多数ラインアップし、北米拠点とも連携しながら最適な選定をサポートしています。
HELUKABEL が提供する「多数の規格に準拠したケーブル」の価値
HELUKABEL グループは、ドイツ・ヘミンゲン本社を中心に世界 43 か国・ 76 拠点を展開するケーブルメーカー/システムサプライヤーです。
グローバル展開の強みを活かし、以下のような多様な規格に準拠したケーブルをワンストップで提供しています。
- 欧州 : VDE、EN、HD、CPR(EN 50575)
- 北米 : NFPA 70 / 79、UL、CSA、NEC 関連
- その他 : EAC、各国認証、産業別標準 など
このため、
- 「同じ機械を日本/欧州/北米の 3 市場に展開したい」
- 「JIS から国際規格への切り替えを検討したい」
- 「NFPA・UL・EN の条件を 1 本のケーブルでまとめたい」
といった課題をお持ちの場合でも、単一サプライヤーで複数市場の規格要求をカバーできる点が大きなメリットです。
NFPA 対応でお困りの際は HELUKABEL Japan へ
NFPA 70 / 79 への対応は、単に「UL マーク付きのケーブルを選ぶ」だけではなく、機械設計・回路構成・敷設方法・現地検査まで含めてトータルで考える必要があります。
HELUKABEL Japan では、
- NFPA・UL・VDE・EN などの規格整理
- 既存図面の「北米向け仕様」への読み替え
- プロダクトファインダーを活用した候補抽出
- ケーブルサンプルや技術資料のご提供
など、設計の上流段階からご相談を承っています。
NFPA 対応ケーブルや北米向け配線に関するお問い合わせは、HELUKABEL Japan の
お問い合わせフォーム
または、業種別ページからお気軽にご連絡ください。